おしゃれは好き、だけど何かうまくいかないあなたへ。
トミヤマユキコさんと一緒に悩みながら、どうにか素敵女子を目指しましょう…!
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「その服オシャレですね!」と言われることがある。オシャレだと言われるのはとても嬉しい。けれど、褒められたわたしは顔で笑って心で泣いている。なぜなら「その服」は、十中八九、母が買ってくれたものだから。そうでない場合は、母のお下がりだから。
そうなんです。わたしは36歳にもなって、いまだに母の選んだ服を着ているんです。オシャレなのはわたしではなく母なんです。
母は服飾系の専門学校を出たあとブティックのハウスマヌカン(現代風にいうとセレクトショップのスタッフ)として働いていたひとだ。一方わたしは、オシャレかどうか以前に「女の子に見えない子ども」だった。6歳のころ、スカートをはき髪の毛を結っていたのに「ボク?!キン肉マングッズ欲しい??」と訊かれたこともある。どこまで男顔なのか……。だが、その事実に傷つきつつも「まぁ仕方ないな」で片付けてしまうような、サッパリとした性格の子どもだったし、オシャレより本を読んだり文章を書いたりする方が好きだった。いまでもそれは変わっていなくて、5千円の服は高いと感じるのに、5千円分のマンガを買うのは全くもって平気。
母がオシャレ。これは長いこと悩みのタネだった。ほんとうは自分に似合う服を自力で選びたいし、できればそのセンスを褒めてもらいたい(ときどきでいいので)。でも、言うは易く行うは難しである。だって、母が選んだ方が早いし確実なのだ。それに、すごく楽なのだ、他人に決めてもらうのって。
でも、他人に決めてもらう心地よさに負けてしまったらおしまいである。いざ自分ひとりで服を買おうにも、最終的に店員さんのオススメを買ってしまうことになるから。よく言えば「プロに任せておけば安心」ということだが、なんのことはない、オシャレをサボっているのである。
「オシャレの圏外」に出るライフハック
オシャレになるってむずかしい
そうなんです。わたしは36歳にもなって、いまだに母の選んだ服を着ているんです。オシャレなのはわたしではなく母なんです。
母は服飾系の専門学校を出たあとブティックのハウスマヌカン(現代風にいうとセレクトショップのスタッフ)として働いていたひとだ。一方わたしは、オシャレかどうか以前に「女の子に見えない子ども」だった。6歳のころ、スカートをはき髪の毛を結っていたのに「ボク?!キン肉マングッズ欲しい??」と訊かれたこともある。どこまで男顔なのか……。だが、その事実に傷つきつつも「まぁ仕方ないな」で片付けてしまうような、サッパリとした性格の子どもだったし、オシャレより本を読んだり文章を書いたりする方が好きだった。いまでもそれは変わっていなくて、5千円の服は高いと感じるのに、5千円分のマンガを買うのは全くもって平気。
母がオシャレ。これは長いこと悩みのタネだった。ほんとうは自分に似合う服を自力で選びたいし、できればそのセンスを褒めてもらいたい(ときどきでいいので)。でも、言うは易く行うは難しである。だって、母が選んだ方が早いし確実なのだ。それに、すごく楽なのだ、他人に決めてもらうのって。
でも、他人に決めてもらう心地よさに負けてしまったらおしまいである。いざ自分ひとりで服を買おうにも、最終的に店員さんのオススメを買ってしまうことになるから。よく言えば「プロに任せておけば安心」ということだが、なんのことはない、オシャレをサボっているのである。
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最近のわたしは、サボり方にも磨きがかかってきており、オシャレかどうかの判断がつかない個性的な服を選ぶことで「オシャレの圏外」に出る、というテクを使っている。でも、このテクは万能じゃない。ライター業のかたわら大学講師をしているのだが、カジュアルすぎる服装のせいでいつまで経っても教員だと思ってもらえない。N大学なんて、教員のほとんどがスーツだから完全に浮いている。威厳もへったくれもないから、たぶん学生にもナメられている。
個性的な服に罪はない。悪いのは、個性的な服に逃げてしまうわたし自身だ。このままじゃダメだということは、よくわかっている。新学期がきて、教壇にあがるたび「あのひと、授業補助のバイト学生だよね?」という視線を浴びるのも、そろそろキツくなってきた。だが、無個性なスーツを着る「教員コスプレ」はしたくない。カジュアルだったり、個性的だったりする中に、大人の女の雰囲気を醸し出してゆきたい……自分で書いていて、けっこう贅沢なこと言ってるなと思うが、ここが頑張りどころだ。
オシャレは好きだが、オシャレになりきれない。「とりあえず似合う服」でお茶を濁さず、もう少しだけセンスアップできたら、人生はもっと楽しいのではないか。そんな気持ちをくすぶらせて生きるひとは、きっとわたしだけじゃない。というか、めちゃくちゃオシャレなひと以外は、みんな悩んでいるはずだ、「このままでいいのかな?」と……。
というわけで本連載では「40歳までにオシャレになりたい」をテーマに、自力で満足いく服を買うための練習をしてゆきたい。なんだか、かなり低い目標設定だが仕方がない。「伸び率を見てください」としか、いまは言えない。
手始めにやることはもう決めてある。「グレーのパーカー問題」の解決だ。詳しくは次回連載で説明したい。
それではみなさん、どうぞよろしくお願いします。
【Vol.1】オシャレになるってむずかしい(つづき)
個性的な服に罪はない。悪いのは、個性的な服に逃げてしまうわたし自身だ。このままじゃダメだということは、よくわかっている。新学期がきて、教壇にあがるたび「あのひと、授業補助のバイト学生だよね?」という視線を浴びるのも、そろそろキツくなってきた。だが、無個性なスーツを着る「教員コスプレ」はしたくない。カジュアルだったり、個性的だったりする中に、大人の女の雰囲気を醸し出してゆきたい……自分で書いていて、けっこう贅沢なこと言ってるなと思うが、ここが頑張りどころだ。
オシャレは好きだが、オシャレになりきれない。「とりあえず似合う服」でお茶を濁さず、もう少しだけセンスアップできたら、人生はもっと楽しいのではないか。そんな気持ちをくすぶらせて生きるひとは、きっとわたしだけじゃない。というか、めちゃくちゃオシャレなひと以外は、みんな悩んでいるはずだ、「このままでいいのかな?」と……。
というわけで本連載では「40歳までにオシャレになりたい」をテーマに、自力で満足いく服を買うための練習をしてゆきたい。なんだか、かなり低い目標設定だが仕方がない。「伸び率を見てください」としか、いまは言えない。
手始めにやることはもう決めてある。「グレーのパーカー問題」の解決だ。詳しくは次回連載で説明したい。
それではみなさん、どうぞよろしくお願いします。
母が選んだ服の中でも、屈指の褒められ率を誇る一着。色合いこそモノトーンだが、目を引く可愛さがあるようです。 |
ものすごくお気に入りで、飲み会に着ていくとウケるが、大学に着ていくと学生に間違えられてしまうパソコンセーター。 |
グレーパーカーを予習する
グレーパーカーの一覧へライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。
Twitter @tomicatomica